福島第１原発周辺からトリチウムを含む地下水が漏えい 濃度は法規制の基準内（2020年11月16日）

東京大学などの国際研究チームは、
福島第１原発周辺の敷地外に、
放射性物質・トリチウムを含む水が漏れ出していると発表しました。

研究チームが、
2013年から2019年にかけて、
福島第一原発の南側陸地の地下水を調べたところ、
天然に存在するレベルを超えたトリチウムが検出されたということです。

原発周辺から、トリチウムを含んだ地下水を
継続的に検出したとの報告は、
初めてだといいます。

濃度は１リットルあたり20ベクレルで、
法規制上の基準や東京電力の自主的な基準よりも大幅に低い値ですが、
研究チームは、
「漏えいの監視体制を海側に限らず陸側でもより強化する必要がある」
とコメントしています。

東京大学・小豆川勝見助教
「（トリチウムの）濃度は規制値と比較するとだいぶ低いのでそのこと自体は問題ないが、トリチウムが漏れているということは、もしかするとトリチウム以外の核種（放射性物質）やもっと濃い放射性物質が出てくる可能性があるので、現在陸側の監視体制は不十分なので、今後はしっかりと監視する必要がある。」

福島第１原発をめぐっては、政府は、
汚染水を浄化した後の「処理水」の海洋放出を検討していますが、
研究チームは、
海洋放出に向けた議論が不足していると指摘します。

東京大学・小豆川勝見助教
「東京電力にしても、規制庁にしても、管理できていない放射性物質がまだあるということは、今後の海洋放出の議論の前提としてあるべき話。（処理水を）出すぞあるいはためるぞという決定に至る前の段階ができていない。漏れがあるということは把握して、今のうちから対策を立てておけば、万が一の事態にも安心できるのでは」

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