慶應義塾イノベーションファウンダリー(KIF)研究プロジェクト紹介
システムデザイン工学科 准教授 柿沼康弘
慶應義塾大学では理工学部創立75年記念事業の1つとして、革新的な産官学連携による研究プロジェクト、慶應義塾イノベーションファウンダリー、通称KIF(ケイアイエフ)立ち上げました。理工学部における実用化に近い研究を産業界と共同で開発するコンソーシアムを形成し、産官学の研究者が活発に交流しながら、多様な共同研究を行うことを目指します。
KIFプロジェクトの一つとして研究活動を開始したシステムデザイン工学科柿沼准教授は、光を一定時間、一定の場所に閉じ込める機能を持つ微小光共振器の研究を,製造プロセスと高性能化の観点から進めています。
「この微小光共振器という小さな器自体は、将来の次世代の超省エネルギーデバイスなどに応用することができ、例えば光スイッチ、光メモリーなどの次世代のデバイスを構成するために必要な素子を実現する技術となります。KIFの研究以前に電子工学科の田邉先生と一緒に、慶應の次世代研究推進プロジェクトというのを行っており、そこで初めて田邉先生との融合研究ということで、この微小光共振器をターゲットにつくるというところから評価するというところまで連続した研究を行ってきましたが、そこにさらに今度は産業界からのバックアップとして超精密加工機メーカーさんも含んで行うことで、さらに一歩進んだ研究を現在進めています。」
高性能な微小光共振器を実現できる材料として蛍石が最適とされており、蛍石の超精密旋削の加工特性を結晶異方性の観点から解析する研究が進られています。
「蛍石自体は単結晶の材料で、その単結晶をナノ精度で加工するというのはとても難しいですね。ただし、我々が見つけたのですが、ある面で加工し、ある方向に加工してあげると全面をきれいに割らずに加工ができるということを発見しました。そうすることによって、初めてナノ精度の切削加工だけで、微小光共振器の形状を作製することに成功しました。その様なプロセスを行いながら研究を進めてます。結晶の構造ですとか、結晶の方向性ですとか、そういうところの観点を、そういう視点を持ちながら解析していき、どうすれば上手く加工できるかというのを実験的に研究を行っています。」
ナノ精度の切削加工技術を上手く利用して、閉じ込める時間が最大になるような微小光共振器を作ることを最終目標として掲げるこのプロジェクトには、内外から多くの期待が寄せられています。
「切削というのは負荷がかかる加工ですので、どこまでシャープにできるのか、ナノ切削でつくれる極限の形状はどこのレベルかいうところをまず調べていきたいというのがひとつあります。そういうサイエンス的なところを今現在非常に興味をもって考えていて、これを調べることが現在の課題です。これらがクリアできれば、展望としてはこのナノ切削加工技術というのが微小光共振器をつくるためのひとつの製造技術として展開するのではないかと考えています。」
システムデザイン工学科 准教授 柿沼康弘
慶應義塾大学では理工学部創立75年記念事業の1つとして、革新的な産官学連携による研究プロジェクト、慶應義塾イノベーションファウンダリー、通称KIF(ケイアイエフ)立ち上げました。理工学部における実用化に近い研究を産業界と共同で開発するコンソーシアムを形成し、産官学の研究者が活発に交流しながら、多様な共同研究を行うことを目指します。
KIFプロジェクトの一つとして研究活動を開始したシステムデザイン工学科柿沼准教授は、光を一定時間、一定の場所に閉じ込める機能を持つ微小光共振器の研究を,製造プロセスと高性能化の観点から進めています。
「この微小光共振器という小さな器自体は、将来の次世代の超省エネルギーデバイスなどに応用することができ、例えば光スイッチ、光メモリーなどの次世代のデバイスを構成するために必要な素子を実現する技術となります。KIFの研究以前に電子工学科の田邉先生と一緒に、慶應の次世代研究推進プロジェクトというのを行っており、そこで初めて田邉先生との融合研究ということで、この微小光共振器をターゲットにつくるというところから評価するというところまで連続した研究を行ってきましたが、そこにさらに今度は産業界からのバックアップとして超精密加工機メーカーさんも含んで行うことで、さらに一歩進んだ研究を現在進めています。」
高性能な微小光共振器を実現できる材料として蛍石が最適とされており、蛍石の超精密旋削の加工特性を結晶異方性の観点から解析する研究が進られています。
「蛍石自体は単結晶の材料で、その単結晶をナノ精度で加工するというのはとても難しいですね。ただし、我々が見つけたのですが、ある面で加工し、ある方向に加工してあげると全面をきれいに割らずに加工ができるということを発見しました。そうすることによって、初めてナノ精度の切削加工だけで、微小光共振器の形状を作製することに成功しました。その様なプロセスを行いながら研究を進めてます。結晶の構造ですとか、結晶の方向性ですとか、そういうところの観点を、そういう視点を持ちながら解析していき、どうすれば上手く加工できるかというのを実験的に研究を行っています。」
ナノ精度の切削加工技術を上手く利用して、閉じ込める時間が最大になるような微小光共振器を作ることを最終目標として掲げるこのプロジェクトには、内外から多くの期待が寄せられています。
「切削というのは負荷がかかる加工ですので、どこまでシャープにできるのか、ナノ切削でつくれる極限の形状はどこのレベルかいうところをまず調べていきたいというのがひとつあります。そういうサイエンス的なところを今現在非常に興味をもって考えていて、これを調べることが現在の課題です。これらがクリアできれば、展望としてはこのナノ切削加工技術というのが微小光共振器をつくるためのひとつの製造技術として展開するのではないかと考えています。」
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