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寺川研究室 レーザーと物質の相互作用を探求・活用して、工業、バイオ、医療に貢献する

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慶應義塾大学理工学部電子工学科 寺川研究室では、レーザーと物質の相互作用を探求・活用して、工業、バイオ、医療に貢献する技術の研究を行っています。


研究の大きな柱となっているのが、レーザー加工、微細構造、そしてレーザーの医療及びバイオへの応用です。特に、現在広く産業応用がされているレーザーよりはるかに微細な加工ができるフェムト秒レーザーを用いた加工に力を入れています。


Q 「現在産業用に使われてるレーザーは殆どが連続光もしくはナノ秒レーザーと呼ばれる、相互作用する時間が少し長めの物が使われています。これを使うとレーザーが当たっている時間の間に与えたエネルギーというのが周りに広がってしまうので、必ずしも相互作用したいところにエネルギーを閉じ込めておくことができないんですけど、それを瞬間的に10兆分の1秒の時間だけレーザーをポンって当てると周りに熱が逃げる前にすべてのエネルギーを注入し終わるので非常に精密な加工ができるのが特徴です。これを使うと周りへの熱影響が少ないことから、非常にシャープな加工ができます。」


このような極めて短い「時間」の視点に、相互作用の生じる「空間」の視点を融合すると、回折限界を超える微細加工が可能となります。例えば、基板上に誘電体粒子を配列し、レーザーをレンズで絞らずに一様に照射するだけで、ナノスケールの小さな穴を同時に多数作製することができます。また、伝搬する散乱場を用いると、ナノスケールの周期的な表面構造を簡単に作製することができます。


Q 「つまり時間では非常に短い相互時間ってことを強調していますけど、空間ではその相互作用する領域を閉じ込めてあげることでより微細な加工ができます。つまり短い相互作用時間と光の持つ独特の空間分布を利用して、色んな小さい構造とパターニング、周期構造、そういった物を作るような研究をしています。」


このようなレーザー光の多彩な特長を活かして未来のバイオ・医療技術に向けた研究も行っています。フェムト秒レーザー加工にて研究を行っている「集光型の増強光」を細胞膜に照射すると、細胞膜に小さな孔を形成することができます。この技術を使えば、細胞の中に薬剤分子や遺伝子を導入することができます。


Q 「細胞にダメージを与えず、細胞の膜に穴を開けることで、その細胞の外から薬の分子ですとか、遺伝子を細胞の中に送りこむことができます。細胞は通常細胞膜がバリアになっていて、外から入ってくるのを防いでいるんですけど、そこに小さい穴を開けるとそこから入って行くことができるので、遺伝子治療ですとか、再生医療ですとか、そういったものに使うことができます。」


フェムト秒レーザーによる熱影響の小さい加工は、細胞が生きたまま、局所的な細胞手術を行うことができます。また、透明な材料も加工できるため、生分解性ポリマーのような体への毒性が小さい材料の加工も寺川研では行っています。


課題としては、やらないといけない事はいっぱいあるんですけど、一つは精度がより高い加工をしていくということと、そういった加工を何に使うのかという所を、これまでなし得なかった加工技術によって新しいことが生まれてくるので、これまではできなかったから考えられてもいなかったような応用先をどんどん見つけて行く。それが課題だと思っています。」
Category
教育 - Education
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