大阪府立大学などの研究チームは、
次世代のバッテリーとして期待される
全固体電池の容量を高める材料を開発したと発表しました。
スマートフォンや電気自動車では、リチウムイオン電池が広く使われていますが、
電解質に液体ではなく固体を使う全固体電池が、
安全で長寿命な次世代の電池の1つとして注目されています。
こちらは、一般的な全固体電池の仕組みを表したイメージです
(※「バルク型」と呼ばれるもの)。
黒い玉であらわされた、「正極活物質粒子」は、電気をためる役割を担い、
黄色い玉であらわされた「固体電解質粒子」が、電気を流す役割を担っています。
黒の「正極活物質」の量が多いほど、多くのエネルギーをためられ、
電池を大容量化することができますが、
黄色の「固体電解質」と混ぜ合わせなければ、電気を正極から負極へ通すことができず、
電池としての性能を発揮できません。
一方こちらは、研究チームが新たに開発した全固体電池のイメージです。
こちらでは、正極側に、「正極活物質」が大量に敷き詰められています。
研究チームは、「ルテニウム」という金属を含んだ材料を
「正極活物質」として用いることで、
電気をためるだけでなく、電気を流す性質も獲得したといいます。
これによって、黒と黄色を混ぜ合わせずに、
黒の「正極活物質」の量を増やすことができ、
電池を大容量化できたということです。
大阪府立大学 作田敦 准教授:
「Qこの研究の今後の課題は
A今回はデモとして100℃という温度での充放電に成功した。というのは、まだ室温での作動は少し難しいということで、これから材料探索を繰り返すことで、室温でも非常に早いリチウムイオン伝導を行うことができる材料を、電極活物質の中にしっかりと混ぜ込んでいくという操作を行っていきたい。
Q想定する全固体電池の用途は
A全固体電池の最も魅力的なアプリケーションとしては電気自動車を想定している。全固体電池を搭載した電気自動車は、本当に近い将来、皆様の目に届くようなところにいくのではないかと期待している。それが、我々が一般的に買えるような状況になるという状態にはまだ5,10年かかるかなと思うが、自動車でそのような技術ができるということは、小型の電池や中型電池においてはもっと早く我々が購入できるような全固体電池が市場に出てくると期待している。
Qコストの問題はどう克服するか
Aまだ材料の製造技術がしっかりとできておらず、プロセス改善の余地があるので、全固体電池をやっている企業はすべてこちらに注力しているが、我々が頑張らないといけないのは、少し高くても売れる、そんな全固体電池の活用の場を探すのも重要になってくると思う。特に今からの時代、メンテナンスフリーの二次電池が非常に重要になってくるのではないかと思っている。例えば10年、20年使い続けても劣化しないような全固体電池を作ることができれば、値段が2倍,3倍になろうが、世の中の需要に応える形になるのではないか。」
※引用元
●論文:Science Advances
Kenji Nagao, Yuka Nagata, Atsushi Sakuda, et al., A reversible oxygen redox reaction in bulk-type all-solid-state batteries
https://advances.sciencemag.org/content/6/25/eaax7236
●プレスリリース:大阪府立大HP
全固体電池実用化の鍵となる革新的な正極材料を開発―低融性のリチウム塩を用いた非晶質化によって酸素の酸化還元を伴う大容量充放電を実証―
http://www.osakafu-u.ac.jp/press-release/pr20200622/
#全固体電池#リチウムイオン電池#正極活物質#固体電解質#大阪府立大
次世代のバッテリーとして期待される
全固体電池の容量を高める材料を開発したと発表しました。
スマートフォンや電気自動車では、リチウムイオン電池が広く使われていますが、
電解質に液体ではなく固体を使う全固体電池が、
安全で長寿命な次世代の電池の1つとして注目されています。
こちらは、一般的な全固体電池の仕組みを表したイメージです
(※「バルク型」と呼ばれるもの)。
黒い玉であらわされた、「正極活物質粒子」は、電気をためる役割を担い、
黄色い玉であらわされた「固体電解質粒子」が、電気を流す役割を担っています。
黒の「正極活物質」の量が多いほど、多くのエネルギーをためられ、
電池を大容量化することができますが、
黄色の「固体電解質」と混ぜ合わせなければ、電気を正極から負極へ通すことができず、
電池としての性能を発揮できません。
一方こちらは、研究チームが新たに開発した全固体電池のイメージです。
こちらでは、正極側に、「正極活物質」が大量に敷き詰められています。
研究チームは、「ルテニウム」という金属を含んだ材料を
「正極活物質」として用いることで、
電気をためるだけでなく、電気を流す性質も獲得したといいます。
これによって、黒と黄色を混ぜ合わせずに、
黒の「正極活物質」の量を増やすことができ、
電池を大容量化できたということです。
大阪府立大学 作田敦 准教授:
「Qこの研究の今後の課題は
A今回はデモとして100℃という温度での充放電に成功した。というのは、まだ室温での作動は少し難しいということで、これから材料探索を繰り返すことで、室温でも非常に早いリチウムイオン伝導を行うことができる材料を、電極活物質の中にしっかりと混ぜ込んでいくという操作を行っていきたい。
Q想定する全固体電池の用途は
A全固体電池の最も魅力的なアプリケーションとしては電気自動車を想定している。全固体電池を搭載した電気自動車は、本当に近い将来、皆様の目に届くようなところにいくのではないかと期待している。それが、我々が一般的に買えるような状況になるという状態にはまだ5,10年かかるかなと思うが、自動車でそのような技術ができるということは、小型の電池や中型電池においてはもっと早く我々が購入できるような全固体電池が市場に出てくると期待している。
Qコストの問題はどう克服するか
Aまだ材料の製造技術がしっかりとできておらず、プロセス改善の余地があるので、全固体電池をやっている企業はすべてこちらに注力しているが、我々が頑張らないといけないのは、少し高くても売れる、そんな全固体電池の活用の場を探すのも重要になってくると思う。特に今からの時代、メンテナンスフリーの二次電池が非常に重要になってくるのではないかと思っている。例えば10年、20年使い続けても劣化しないような全固体電池を作ることができれば、値段が2倍,3倍になろうが、世の中の需要に応える形になるのではないか。」
※引用元
●論文:Science Advances
Kenji Nagao, Yuka Nagata, Atsushi Sakuda, et al., A reversible oxygen redox reaction in bulk-type all-solid-state batteries
https://advances.sciencemag.org/content/6/25/eaax7236
●プレスリリース:大阪府立大HP
全固体電池実用化の鍵となる革新的な正極材料を開発―低融性のリチウム塩を用いた非晶質化によって酸素の酸化還元を伴う大容量充放電を実証―
http://www.osakafu-u.ac.jp/press-release/pr20200622/
#全固体電池#リチウムイオン電池#正極活物質#固体電解質#大阪府立大
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