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白鳥研究室 - 生体の機能を模倣するバイオミメティクスの応用技術の研究

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慶應義塾大学理工学部物理情報工学科 白鳥研究室では、生体の優れた機能を模倣し、技術開発やモノづくりに応用する生体模倣技術「バイオミメティクス」の研究をしています。
「特にウェットプロセスと言っているんですが、私の研究室でやっているものは、全部水をベースにしています。ですから、工業的には真空装置や特殊な装置が色々使われているわけですけれども、生体をお手本にしていますので、色んな動物は真空装置を一切使っていません。それから、環境に優しいもの、自然に帰るものしか使っていません。そういったところを徹底的にお手本にしまして、真空装置は一切使わないで薄膜をつくる。つまり、水を使って薄膜をつくる。水と空気と、あと炭化水素ですね。体を形成しているもの、それだけからつくるというのが基本になっています。」
何億年という長い年月を経て、厳しい環境に適応し進化を遂げて形成された生物のデザインは、 非常に優れた機能をもっています。白鳥教授はこの優れたデザインを人間の生活に役立てるため 、その機能を研究し、模倣して、環境負荷の少ない新たな技術の開発に取り組んでいます。
「蓮の葉の表面は、水が来ればコロコロと転がります。それを顕微鏡で観察すると、マイクロオーダーの凹凸とナノオーダーの凹凸がありますので、それをもっと細かく観察すると、全部表面は炭化水素で出来上がっています。それを人工的に再現して、ガラスの上や、コンクリートの上や、紙の上にくっつけますと、蓮の葉と同じような特性を紙もコンクリートもガラスも持つようになります。こうした蓮の葉の表面のように超撥水現象という、水をコロコロ転がす性質をあちらこちらに付けてみるという新しいタイプの薄膜をつくりました。」
蓮の薄膜を模倣したコーティングをコップに応用すると、コップの中の炭酸が表皮におさまり、従来のものと比べて炭酸が抜けにくくなります。またこの機能を紙に付与すると、水につけても破れない紙が出来上がります。
この蓮の薄膜の他にも、食虫植物であるウツボカズラの研究も行なわれています。ウツボカズラの表面は液体の粘性のある膜で覆われており、捕食した昆虫を下まで滑らせて養分を吸収します。このスリップと呼ばれる特性はケチャップの容器が最後の一滴まで絞り出せたり、簡単に剥がせるペンキやコンクリートなどへの応用が期待されています。
このように、動植物の持つ特性を食品や生活用品にも応用する事で、人間の生活に役立てることが可能となります。
「うちの研究室では、レイヤー・バイ・レイヤーといって、電荷のクーロン力を使った積層したり、スキージ法といいまして、液体を棒で引き伸ばすといいたような単純な方法も使っています。物理の力学用語でいえば、静電気力だったり、ファンデルワールス力だったり、共有結合力だったりとそういったものをうまく活用しながら、強くて薄い膜を簡便につくる技術っていうのが大事になってきています。自然の力っていうのは何億年、何万年の歴史がありますので、すごくうまく機能してることを毎日実感します。」
Category
教育 - Education
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