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ナノスケール電子デバイス -来るべき未来のデバイス開発を目指して- 内田研究室

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慶應義塾大学 理工学部 電子工学科 内田研究室では電子デバイスがナノスケールまで小さくなった時に発現する物理現象を理解すること、得られた知見をもとに電子デバイスを高性能化する方法を提案することを目指した研究を行っています。
現代の高度情報化社会では半導体集積回路「LSI」が情報処理に重要な役割を果たしています。この半導体LSIの中では数十億個の電子デバイスが集積され、様々な機能が実現されています。LSIの構成要素である電子デバイスの性能を良くすることはLSIの高性能化・低消費電力化に直結するため、電子デバイスの性能を高めることは非常に重要です。

Q. 電子デバイスがこれからどうなっていくかというと非常に難しいのですが、ひとつは今までよりも低い電圧で動かす事ができる、逆に言うと低い電圧で動かさないと消費電力が低くなって、スマホとかが長く使えるというメリットが出てこないんですね。ですから、将来の電子デバイスとして期待される事、あるいは実現されなければならない事は、非常に低い電圧でも動いて消費する電力が非常に低いと。そこが大きな流れです。ただLSIというのが、これまでは計算だけを行えばよかった、あるいは情報を記憶するという事を行えばよかったというものなのですが、これからはもう少し外の世界とインタラクティブに関わってくるLSIが求められていますので、これから先の電子デバイスはただ消費電力が低くて計算ができるという事ではなくて、外の世界とやりとりすることができるような電子デバイス、例えばセンサーですとかそういったものが集積回路の中に入っている事が求められていると考えています。

ナノサイズ化に伴う重要な効果として「異種材料間の界面の効果」があります。ものの大きさを小さくすると体積に比べて、ものの表面積の比率が高くなります。そのため、表面で生じる物理現象が電子デバイスの特性に重大な影響を与えるようになります。このデバイス中の表面/界面で生じる物理現象、その中でもデバイス特性に影響をおよぼす物理現象を理解することを目指しています。

Q. 体積がどんどん小さくなると、表面積の割合が高くなってきます。実は表面積の割合が高いと、熱は表面あるいは界面と言われる部分で熱を運ぶフォノンが散乱すると言われていまして、その散乱の効果によって熱がどんどん伝わりにくくなります。あるいは電流から熱に変換されるというのは、電気のエネルギーが結晶格子をゆらすようなエネルギーに変わる事なんですが、そういう電気のエネルギーが結晶格子にトランスファーされる過程というのが、実はナノスケールの中で見ると決してきわめて局所的に起こっているのではなくて、ある程度ナノスケールの寸法で見た時には我々通常はここで起こるだろうと思っていたものが少し離れたところで起こったりですとか、そういった事が生じるのでナノスケールで熱がどう発生するかという事が非常に大きなテーマになっていると思います。

このような研究の他にも、これまで電子デバイスを形成する材料として広く使用されてきたシリコンに代わり、ナノスケールサイズで優位性を持つ可能性のある材料であるグラフェンなどの原子スケールの薄膜、いわゆる層状物質のデバイス応用の可能性についての研究を行なう等、来るべき未来のデバイス開発に向けて新たな挑戦を続ける内田研究室。
これからも慶應義塾大学 理工学部において、サイエンスとしての発見の喜びと、工学エンジニアリングとしての新しい価値を見出す面白さを追求するべく、更なる研究開発をおこなっていきます。
Category
教育 - Education
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